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2010 04,04 10:36 |
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これはすごい本だ。
さまざまな社会的なテーマを、中学生にも分かるように書いた、 理論社の「よりみちパン!セシリーズ」。 これは本当に素晴らしい本が多くて、 とても注目していたのだけど、この本は特にいい。 というか、中学生だけが読むなんてもったいない。 中学生から専門家まで、あらゆる人が読むといいと思う。 世の中はイスとりゲームのようなものだ。 イスから転げ落ちた人々が貧困になる。 「自己責任論」は「座れなかったヤツに問題がある」という考え。 だけど、「イスの数が少なかったのが問題だ」と 考えるべきじゃないのか?と湯浅氏は問題提起をする。 パン!セシリーズで僕がすごいと思うことは、 「中学生に向けて書く」ということの影響力の大きさを 著者がきちんと意識していて、 「自分の文章で中学生を言いくるめてしまわないように」、 ものすごく抑えて、いつも以上に内省的・自己批判的に 文章を選んでいるところだ。 この本は特に、前半がいい。 世間で非常によく言われている「貧困に対する反論」を、 質問形式で並べ、それにひとつひとつ答えている。 「努力しないのが悪いんじゃないの?」 「甘やかすのは本人のためにならないんじゃないの?」 「死ぬ気になればなんでもできるんじゃないの?」 「自分だけラクして得してずるいんじゃないの?」 「かわいそうだけど、仕方ないんじゃないの?」 どれも、メディアで聞き飽きた「自己責任論」の常套句。 それぞれへの答えが、ひとつひとつ丁寧で共感でき、 きちんと読者を考えさせるようにできている。 人間は実は公平なんかじゃない。 能力を発揮するための「溜め」が、それぞれ違う。 「溜め」の量によって、同じ努力でも結果の大きさが違う。 結果からさかのぼって努力の量を類推する「自己責任論」では、 この「溜め」の要素を無視しているのだ。 はっとさせられたのは、 「労働条件が悪くなる→貧困が増える→NOと言えない労働者になる →社会全体の、労働条件がずるっと下がる」 という「貧困スパイラル」。 まさしくそういうことが社会ではものすごい勢いで進行していて、 「誰もが不幸になる社会」への道を突き進んでいることを、 肌で感じている。 僕も中学生の時にこの本に出会いたかった、と思う。 でも、今出会えてよかった、とも思う。 いつからでも遅くない。ぜひ読んで、自分の頭で、考えてほしい。 PR |
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