2024 05,01 03:24 |
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
|
2009 03,09 23:20 |
|
ジャンル:歴史小説
おすすめ度:☆☆☆☆☆(5/5) 実は、今度「エリザベート」のミュージカルを初めて見に行くことが決まったので、その予習のために、と読み始めた作品。 藤本ひとみさんは、僕の中で女性が主人公の歴史小説を書かせたら右に出るものはいない、と思っている作家。 せっかく歴史もののミュージカルを見に行くのだから、その背後についてちょっとは知っておきたいなぁ。 だったら、面白い歴史小説で読めたらいいなぁ。 あ、藤本さん、エリザベートの小説書いてないかな? なんだか好きそうだし。 そんなふうに思って検索してみると、なんと、ちょうど新刊で発売するところだって! タイミングぴったり!(というか、ミュージカルに合わせたのかもだけど) そんなわけで、期待いっぱいで読み始めてみた。 読み始めた最初の方から、「あれ? これは今まで読んだ作品とは違うぞ」と感じる。 藤本さんの歴史小説は、ジャンヌ=ダルクやらヴァンデ反乱やら、どちらかと言えば血なまぐさいものが多かったのだけど、この作品は激動の時代とは言え、宮廷の頂点、しかもわがままで有名だったというエリザベートが主人公。 歴史小説というより、むしろ藤本さんが初期に書いていたコバルト文庫の少女小説に近いんじゃないか?と思われるほど、キャラクター的でライトテイスト。 ところがその手法が何とも効果的。 最初の方で各登場人物の個性を強烈に印象付け、その心の変遷を丁寧に書いていくことで、歴史上の彼らの行動さえも全て読者に共感できる形に読み解いていく。 そりゃもちろん、小説なんだから作り話で合って、本当かどうかなんてわからないけれど。 現実より現実的というか、なんだかありそう、と思わせてしまう筆力がすごい。 そして、藤本さん特有の時に登場人物の心に深く入り込み、時に客観的にも描写する緩急自在の地の文によって、対立するキャラクターそれぞれに感情移入してしまう巧みな構成。 シシィの気持ちもわかる、けど、ゾフィーの考えにも一理ある。 でもフランツ・ヨーゼフにだって立場はあるんだし、仕方がないじゃないかー。 なんて調子で。 誰一人単純な悪役にしたりせず、共感しながらも、偶然の悪戯と大いなる世界の流れに押し流されていくのを、誰もとどめられない。 そういう構成が、実に壮大でかつ繊細。 やっぱりこの人の書く歴史小説は抜群に面白い。 特にこの作品は圧倒的に読みやすいから、歴史苦手、って人にこそ読んで欲しい素晴らしい歴史小説。 PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
trackback |
トラックバックURL |
忍者ブログ [PR] |