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2007 06,02 10:47 |
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種類:小説
これはすごい。 この人、天才じゃないだろうか。 決して理路整然とした文章には思えない、いや思わせない文章なのに、そのストーリー展開は恐ろしいほどに緻密。 売れるべくして書いている感じなど微塵も見せないのに圧倒的な個性を醸し出している。 主人公は小学生で、舞台はどことはいえないけど、現実っぽい世界で、でもあからさまにファンタジーで。 主人公の視点やなんかはきちんと「こっち側」に立っているっていうのに、明らかに「向こう側」にいる弟を笑い飛ばせない。 「向こう側」を書いた作品はいくらでもある。「こっち側」を書くことで共感をもたらす作品も数知れない。 この作品のすごいところは、「こっち側」と「向こう側」の行ったりきたりを書いているところ。 そう、まさしくゆれるぶらんこのように。 これ以上リアルではいけない。これ以上ファンタジーでももちろんダメ。 このバランス感覚が素晴らしい。 しかも、この作品の最初から最後までに絶えることなく流れているのは「孤独」。 たとえばこどもの頃、夜中に一人で布団に入った時。 その時、言いようもない孤独と不安に襲われ、自分の今立っているところが現実なのか虚構なのかがひどくあいまいになって、ああ、もしかして今ここにいる僕は、誰かが見ている夢に過ぎないんじゃないだろうか、などと考えたことはないだろうか。 この作品の根底に流れているのは、そんな感覚だ。 もう一度言おう。 これはすごい。 PR |
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