アーティストはLOST IN TIME。 このアルバムの頃はベースヴォーカル、ギター、ドラムのスリーピースバンド。
LOST IN TIMEを語るとき、まず取り沙汰されるのはヴォーカル海北大輔の類い希なるソングライティング、特に剥き出しの言葉を連ねた、その歌詞だ。 他のアルバムでは、絶望や悔しさ、寂しさを叫ぶ、ネガティヴともいえる楽曲の多いLOSTだが、このアルバムは全体に肯定と優しさで満ちており、彼らの作品の中では異色を放っている。 それに併せて普段は血を吐くような、喉もちぎれんばかりといった風が目立つ歌い方も、このアルバムではむしろ「音一つ一つを丁寧に」紡いでいる。 かといって、このアルバムが他のアルバムに比べてエネルギーに欠ける、耳障りのいい売れ筋に走っているというわけでは決してない。 彼らの肯定は、前二作で絶望を知り、自らの矮小さ、孤独の恐ろしさを痛いほど知った彼らだからこそ作れる、「到達点」としての肯定だ。 そこには弱さや醜さを否定するのではなく、それを抱えたまま、痛みを伴った肯定がある。 そうでなければ決して「頑張ってるふりなんて しなくてもいいんだよ」などという歌詞は書けないだろう。
そして、このCD。 いやぁ、間違いなくいいものだろうなぁ、とは思っていたけど。 期待を裏切らない、いや、期待以上だ。 1曲目の「walkin' in the rain」、そしてその次の「Endless Days」と、ライブでおなじみのめちゃくちゃ盛り上がる曲! CDでじっくりと歌詞が聴き取れるようになるとなおさらいいね! 本当に元気になれる歌詞とメロディ。疲れ切った僕の心に、優しく力強く染み渡っていく。
狭い部屋 飛び出して行け! なんも変わらないなら動かしていけ! walkin' in the rain